展示によせて

  台北市が史跡に指定する「台湾土地銀行本店旧館」―この建造物の前身は日本統治時代に台湾に建設された「旧日本勧業銀行台北支店」で、1933年(昭和8年)に竣工したものです。日本勧業銀行の建築課が設計監督を担当し、株式会社大林組が施工した3階建ての鉄骨鉄筋コンクリート建築です。

  建築様式は西欧の古典建築の要素を主軸に、幅広で力強い柱と軒、柱頭や壁、ひめがきの上に重厚な装飾が施され、昭和の西洋レトロと日本趣味が融合した折衷の雰囲気が漂います。道に面した壁面は13本の太く密に配置された柱が、台湾風のあずまやのような空間と相まって、見る人に強いインパクトを与えます。

  「旧日本勧業銀行台北支店」の建築は、当時非常に進んだ建築で、多くの新しい工法(大きな鉄骨の骨組みと鉄筋コンクリート建築で支えた屋根)、新技術(カストストン-cast stone-工法)、新設備(近代的な冷房設備、消防システム、上水道およびガスのシステム)、新建材(木摺と金網を組み合わせた仕切り壁、上げ下げ窓、石膏の装飾板)などの試みであり、日本統治時代後期の台湾の建築技術と工芸美術の証人となる、最も貴重な文化遺産とみることができます。

  国立台湾博物館の「台湾土地銀行本店旧館(旧日本勧業銀行台北支店)史跡修復工事」は、勧業銀行旧ビルの修復であり、博物館の工程を活用した工事です。修復工事は楊仁江建築師事務所が設計と監督を行い、福清営造股份有限公司が修復工事の施工を担当、2007年1月に着工し2009年4月に竣工、2年4ヶ月の歳月を要しました。

  修復工事には台湾の職人による修復技術と知恵が生かされているほか、日本の左官職人のノウハウを修復技術に取り入れています。この展示を通じ今回の修復技術とノウハウを、台湾の史跡修復の貴重な史料として残し後世に伝え、今後の台湾の史跡修復にも活用できるよう期待が寄せられます。

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